第1回【後編】ワイン王子 大西タカユキさんの「今夜はワインで映画に乾杯」

2014年05月22日 14時28分

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ある時は個性ある名脇役として、ある時はストーリーの鍵を握る陰の主役として、数々の映画に登場してきたワイン。
この連載では、ワインプロデューサーの大西タカユキさんが、名画や話題作の“あのシーン”を振り返りつつ、ワインの魅力を語ります。
ワインを知ることで、映画がもっともっと味わい深くなるはず!

【第1回】『失楽園』×シャトー・マルゴー (後編)


失楽園ブームで“マルゴーワイン”の勘違い購入が続出

シャトー・マルゴー2007

文豪・ヘミングウェイが愛したことでも知られるワインの女王。

優雅で香り高い逸品です。

興味のある方はAEON de WINEへGO!

『失楽園』に登場する究極の赤ワイン、「シャトー・マルゴー」は、フランスが世界に誇るワイン銘醸地ボルドー地方メドック地区マルゴー村から造られる高級ワインです。このメドック地区の中でも最高峰の第1級に格付けされた5つのワイン、5大シャトーのひとつでその官能的な味わいから「ワインの女王」とも呼ばれています。
ワインの世界でよく聞く「シャトー」というのは、もともとは「城」という意味ですが、ワイン用語ではぶどう畑を所有するワイナリーという意味で使われます。意外に思われる方も多いかもしれませんが、「マルゴー」って村の名前なんですね。ですから、「シャトー・マルゴー」って、“マルゴー村ワイナリー”という意味です。
ただ、注意しなければならないのは、マルゴー村のワインには“マルゴー”という名前がラベルに書かれたワインがたくさんありますが、マルゴー村のトップに君臨する「シャトー・マルゴー」とは別物です。
今では笑い話になっていますが、『失楽園』ブームの際に映画を観た多くの人たちがワインショップに駆け込んで、マルゴー村のワイン(例えば、カルベ・マルゴーやシーラー・マルゴー・プライヴェート・リザーヴetc.)を「シャトー・マルゴー」と間違えて買っていったそうです(笑)。
ただ、マルゴー村のワインは「シャトー・マルゴー」には及ばないとしても、その辺のワインよりは断然クオリティは上です。人生の最期に飲むわけではない方は、かの「シャトー・マルゴー」と同じ村で造られ、同じように官能的なニュアンスを感じるマルゴー村のワインを飲みながら「失楽園」を観るのも良いかと思いますよ。だって、究極の赤ワインだけあって「シャトー・マルゴー」はお値段も究極……。


Profile
大西タカユキ
1978年4月生まれ。兵庫県西宮市出身。ワインの敷居を低くするために、ユニークなイベント、ソムリエのいない飲食店のワインプロデュース、オーダーメイドワインショップの運営などを通じて、日本一わかりやすくワインの“楽しさ”を発信している。元ワイン嫌いのワインプロデューサーとして、メディアや女性達の間で人気急上昇! 現在、ラジオ関西「ばんばひろふみのラジオDEしょー!」に準レギュラー出演中。

公式サイト http://takayukiohnishi.com/

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